映画ビジネス研究所

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集英社は公式ネタバレサイトを運営したら儲かるんじゃない?

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はじめに

こんにちわ、胆石クラッシャー(@ev20405)です。

先日、人気漫画「ワンピース」の最新作の内容を発売前にインターネット上のいわゆる「ネタバレサイト」で公開したとして、犯行グループが逮捕されました。

www.huffingtonpost.jp

注目すべき点は、その広告収入です。

県警は、堀田井容疑者らが14年9月以降少なくとも約3億500万円、上原容疑者らは12年5月以降約7400万円の広告収入を得ていたとみている。

 かなり金額に開きがありますが、14年9月以降で約3億500万円とすると、月850万円程度でしょうか。毎月PS4が200台買えるレベルのようです。

このニュースを見て、これだけ広告収入が発生するってことは、それだけアクセスがあるってことなので、同じようなことを集英社が公式でやれば儲かるんじゃね?と思ったので、少し考察してみようと思います。

月850万稼ぐために必要なアクセス数は?

まずは広告収入をベースに、実際どれくらいアクセスがあったのか調べてみましょう。前提として、ネタバレサイトの訪問者はお金がない若年層が中心と仮定します。

これは…

・利用者はリテラシーが低い人が中心(法律に違反しているのが明確なため)
・富裕層や中年層はある程度リテラシーがあるor存在を知らないので閲覧しない
・若年層はネットでコンテンツを無料で消費することに違和感がない

といったことから考えました。

 

次に、ネタバレサイトの訪問者はお金がない若年層が中心のため、収益には成果報酬型(ユーザーが会員登録等の特定のアクションを行った回数に応じて報酬がもらえる)のアフィリエイト広告はあまり寄与しないと考えられます。

そのため、ネタバレサイトはGoogleアドセンスでマネタイズを行っていると考えられます。Googleアドセンスの収益は以下の式で求めることができます。

収益=クリック単価×クリック数

※クリック単価=PV数×広告の数×クリック率

また各要素の数値は、複数のソースから以下の数値で定義します。

Googleアドセンスは同じページに3つまで広告を貼ることが可能
・クリック率は書籍等の情報だと1%程度
・クリック単価も同様に30円程度

だとすると、月850万円のネタバレサイトは月950万PV程度であると推定されます。

PV数ベースで広告収入を算出しているサイトがあったので、参考まで。この記事によると、1000万PVで数100万〜1000万の広告収入が得られるとのこと。

ebloger.net

ちなみに、月1000万PVだと、CNET JAPANやWIRDと同程度のPV数とのこと。

ikechan0201.com

計算が長くなってしまいましたが、つまり、仮に集英社が公式でネタバレサイト(のようなジャンプ先行配信プラットフォーム)を無料で運営すれば、CNET JAPANやWIREDクラスのWebメディアと同様の発信力と月850万円の広告収入が得られることがわかりました。

ジャンプ公式ネタバレサイトを考えてみる

現在、ジャンプを1番早く読む方法は、ジャンプ+での電子版の購入です(発売日の午前5時ごろに配信)。そのため、このサービスと差別化し、食い合わないようなサービス設計が必要です。

配信形態としては2パターン考えられます。

①無料で一部のみ先行配信
②有料で全て先行配信

それぞれみていきます。

①無料で一部のみ先行配信

1つめは、本来の発売日よりも数日前に、各作品の冒頭数ページのみを無料で公開するパターンです。

マンガの冒頭だけ無料で読めたからといって、その週のジャンプを読まない人はいないと思うので、販売には影響が出ないと考えられます。むしろ、無料で読めるため、今まで購入していなかったユーザーが続きを読むためにジャンプを購入することも考えられます。

LINEマンガでは、1巻無料で配信を行うと、リアル書店への波及効果もあるんだとか。

internet.watch.impress.co.jp

LINEの村田氏によると、ドラマ化やアニメ化された原作コミックスの1巻は、リアル書店での売上が放映翌日ピークになる。同じように、「LINEマンガ」で無料連載を実施すると、リアル書店での売上が翌日ピークになる。これは、LINEがトーハンと情報交換することによって把握できたことだという。

 トーハンの川村氏は、3年ほど前に小学館『なみだうさぎ』が突然書店で動いた事例を紹介。通常の売れ方なら、1巻より2巻以降のほうが少なくなるが、『なみだうさぎ』は2巻のほうが売れていた。調べてみたらちょうどそのころ「LINEマンガ」で1巻無料配信をやってたことが分かり、それをきっかけにLINEと情報交換して分析するようになったとのこと。

無料で読めるため、既存の違法なネタバレサイトまではいかないまでも、そこそこのPV数を稼ぐことができるはずです。そのため、広告収入をコンスタントに得ることができます。

②有料で全て先行配信

2つめは、本来の発売日(毎週土曜日)よりも数日前に、先行配信として電子版を通常より高値で配信するパターン。

同様のサービスは映画業界で行われつつあり、 アメリカでは少し前からネットでの先行配信に取り組んでいます。過去には、料金を割り増しする代わりに、劇場公開より早く観ることができるサービスも登場しました。

gem-standard.com

私たちのパターンとは、まず映画を獲得し、劇場公開の30日前にDirecTVで放送します。つまり、映画は最終的に伝統的な劇場公開に落ち着くわけですが、2000万世帯のDirecTV会員に宣伝できるエキストラ・ウィンドウができるのです。私たちの顧客は独占コンテンツを見ることができ、映画製作者は2000万世帯での大型リリースを実現することになります。

ところが、私たちが30日の独占配信ウィンドウ内で高額マーケティングを行うことによって、その後のVODを始めとする配信ウィンドウ全体のパフォーマンスが向上するということが、徐々に認知されるようになったのです。

 また、日本のVODサービスであるU-NEXTも新作映画をネットで先行配信するそう。

www.nikkei.com

動画配信のU―NEXTは新作映画を公開前にネットの動画配信サービスで視聴できるようにするサービスを始める。映画館やDVDの販売会社などと協力し、ネットで先行公開した場合の集客への影響など効果を検証する。動画配信業界と映画界との対立が目立つなか、共存の道を探る。

 「あゝ、荒野」の制作委員会では配信された動画を見て後編を映画館に見に来る人や、映画館で見た後に配信サービスを利用する人が生まれるなど、相乗効果が見込めると考えた。映画館にとっても広告やキャンペーンを共同で実施でき効果が高いとみる。

このように、先行配信というビジネスモデルはかなり一般的になっています。ネタバレサイトがこれだけ人気がでるのも、少しでも早く見たい!という欲求が強いことの証明です。それを公式に行うことによって、電子版や紙でジャンプを読んでいたユーザーの一部を先行配信に移行させ、新たな利益を生み出すことができます。

こちらの場合、有料での購入となるため、広告収入はあまり見込めません。しかし、ロイヤリティの高いユーザーが中心のため、関連グッズや単行本の売り上げがある程度期待できます。

課題はタイトな運用スケジュール

ここまで説明してきて、かなり良いこと尽くめなような気がしてきました。ただ、大きな課題があります。それは週刊連載は非常にタイトなスケジュールで運用されていることです。

オフィシャルな情報があまりなかったので、まとめになりますが…

matome.naver.jp

jumpsokuhou.com

確か、瀬尾公治先生も「涼風」の巻末にタイトなスケジュールで描いていることを明かしていました。

このように、一部を除いて、大部分の漫画家がタイトなスケジュールで週刊連載をしていることが分かります。ということは、雑誌の製本過程もタイトなスケジュールで運用しているはずなので、公式ネタバレサイトを立ち上げるとすると、かなり多方面の方々にスケジュールで無理をさせてしまう可能性が大です…

まとめ

ジャンプ公式ネタバレサイトは①無料で一部のみ先行配信②有料で全て先行配信、のどちらのパターンでも収益が見込めるものの、現在の週刊連載の形を変えない限り、運営は難しそうです。

 

 

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