映画ビジネス研究所

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「toio」と「ベイブレード」の共通点から考えた、ヒットするおもちゃの法則

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はじめに

こんにちは、胆石クラッシャー(@ev20405)です。

ソニーが先日、子どもたちが学んで遊べる新作おもちゃ「toio」を発表しました。メディアにもかなり取り上げられ、ニュースにもなっていました。

【toioのスペックや使い方についてはこちら】

「toio」の何が凄いかというと、ロボットとコントローラと独自センサ技術によって、今まで子供が想像で命を持たせていたものを、実際に動かせるようにしたことだと思います。

加えて、カートリッジを変更することで、動きにも幅をだすことができ、なんとレゴとの協力により、レゴを組合せて遊ぶこともできるそう!

このニュースを見て、大ヒットはしないけど、高所得者層がリピーターになりそうだなあ、と感じつつ、そもそもヒットするおもちゃとは何ぞや?ということについて考えて見ます。

※今回は男児向け玩具のお話です

伝統的な玩具を現代風にアップデートするとヒットする!?

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※「日本おもちゃ大賞2016」を受賞したベイブレード「ビクトリーヴァルキリー.B.V」

ヒットするおもちゃには、ざっくりわけてIP系(仮面ライダーや妖怪ウォッチ、遊戯王)、テクノロジー系(Robi jr.やナノファルコン)、王道おもちゃ系(ベイブレード、ミニ四駆)の3つに分かれそうです。

その中で、私はヒットするおもちゃについて1つの考えを持っています。それは、伝統的な遊びやおもちゃを現代風にアップデートしたおもちゃはヒットする、という『ベイブレード理論』です。

ベイブレードとは、1999年に発売された「爆転シュート ベイブレード」のことで、日本の伝承玩具であるベーゴマを現代風にアレンジした対戦おもちゃ。全世界で約1億6000万個を販売し、品薄状態が半年も続くなど社会現象を巻き起こしました。

私は、ベイブレードのように伝統的な玩具を現代風にアップデートしたおもちゃは、その普遍性からヒットを生み出すと考えており、その現象のことを(勝手に)『ベイブレード理論』と呼んでいます。

 

この考え方は、映画における古典的名作のリメイクに近いと考えています。時間というふるいにかけられても残っているコンテンツというのは、普遍的な価値があり、その価値を残したまま、現代風にアップデートすれば、現代でもヒットするであろうという考え方です。

最近だと「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「マグニフィセント・セブン」「007 カジノ・ロワイヤル」「十三人の刺客」等、様々な作品が挙げられます。

 

また、一時期ソーシャルゲームでも同様の現象が見られました。

2017年1~3月で608億円という売り上げを叩き出した「モンスター・ストライク(以降モンスト)」はビリヤードがベースになっていますし、1100万ダウンロードを突破し、DeNAの主力コンテンツに成長した「逆転オセロニア」は名前の通りオセロがベースになっています。

 

一方で、同様のコンテンツでヒットしないものも多々あります。メンコを現代風にアップデートしたおもちゃ「改造メンコバトル<BANG!>」は1ミリもヒットしませんでしたし、ベーゴマをアプリ化した「ベーモンキングダムΩ」は、2017年5月31日(水)をもってクローズとなりました。

この違いは一体どこにあるのでしょうか?大ヒットした「ベイブレード」を例に、どこが優れていたか考察してみようと思います。

ベイブレードの本質的な価値はどこにある?

 

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※ベイブレードの歴史。「ベイブレードバースト」は第3世代になる

先ほどの『ベイブレード理論』が正しいと仮定すると、古典的な玩具の面白さを引き継ぎつつ、現代風にアップデートすることが、成功の必須条件だと考えられます。

そこで、まずはベイブレードの元となるベーゴマの面白さを分解してみます。

大きく分けて以下の3つではないでしょうか。

  • コレクション性(色々な種類のベーゴマを集める)
  • 真剣勝負性(リアルタイムで起こるバトル、場外や停止等勝敗がわかりやすい)
  • カスタマイズ性 / 戦略性(側面や先を削って特徴づける、糸の巻き方を変える)

では、ベイブレードは上記3つの要素をどのように現代風にアップデートさせたのでしょうか?

コレクション性

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ベイブレードは上記の図のように、レイヤー・ディスク・ドライバーの3つの要素から構成されています(第3世代のベイブレードバーストの場合)。

そのため、ベーゴマであれば差別化要素が本体のみ(=1つ)しかなかったものが、要素が3つに増えています。加えて、色・デザイン・特徴等、性能も千差万別であることから、コレクション性が飛躍的に向上していると考えられます。

真剣勝負性

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ベイブレードはベイスタジアムと呼ばれる専用の台で勝敗を競います。この方式はベーゴマ時代とほぼ変わりません。

勝敗は、相手よりも長く回り続けて勝つ「スピンフィニッシュ」、相手をスタジアムの外に弾き出して勝つ「オーバーフィニッシュ」、そして相手を破壊して勝つ「バーストフィニッシュ」の3つがあります(第3世代のベイブレードバーストのみ)。

【ベイブレードの勝ち方一覧】

特筆すべきは「バーストフィニッシュ」です。ベイブレードにはロック機構があり、ベイブレード同時がぶつかり、回転とは逆のほうにパーツが4回動くとロックが外れて、各パーツがバラバラに弾け飛びます。これをバーストフィニッシュと呼び、これがベイブレードの真剣勝負性を極限まで高めているのです。

日経トレンディネットの『定番玩具「ベイブレード」がなぜ今ヒット?ブレイクの秘密は“大逆転”』によると、「ベイブレードバースト」を担当するタカラトミー ボーイズ事業部の堀川亮氏は以下のように語っていました。

「前世代のメタルファイト ベイブレードでは長く回り続けるベイのほうが強い傾向があり、ベイを速く回せる力の強い子が有利になるケースが多かった」(「ベイブレードバースト」を担当するタカラトミー ボーイズ事業部の堀川亮氏)。

つまり、バーストフィニッシュによって、見た目の派手さはもちろん、勝負の決着が最後まで分からなりまいsた。ベイブレードが止まるその瞬間まで、ベイブレード同士が接触する角度やタイミングによっては相手のベイブレードをバーストさせる可能性があり、逆転勝利の可能性があるのだ。これによって、ベイブレードの真剣勝負性はベーゴマよりも拡張されたと言ってもよいでしょう。

カスタマイズ性 / 戦略性

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※タイプ相性図。ソーシャルゲームの属性を彷彿とさせる

上述のように、ベイブレードはレイヤー・ディスク・ドライバーの3つの要素から構成されています。

また、ベイブレードには攻撃にすぐれる「アタックタイプ」、防御が強い「ディフェンスタイプ」、持久力が高い「スタミナタイプ」、その3つの能力をあわせ持った「バランスタイプ」といった4つの種類があり、それがジャンケンのような三すくみの構造になっています。

例えばアタックタイプはスタミナタイプに強いがディフェンスタイプには弱く、ディフェンスタイプはアタックタイプには強いがスタミナタイプには弱い等。

このように、タイプの異なる各パーツを自由に組みわせることができるため、ベイブレードの種類は無限大なのです。

また、日経トレンディネットの『定番玩具「ベイブレード」がなぜ今ヒット?ブレイクの秘密は“大逆転”』で、「ベイブレードバースト」を担当する堀川氏は、

ベイの形状がコンマ数ミリ変わるだけで、バーストさせる確率が大幅に変化するそうだ。そして、何度も試作を重ね、強すぎず、弱すぎないベイを作り上げている。「ベイブレードには“最強のベイ”は存在しない」(堀川氏)。

と述べており、子供自身が試行錯誤して、自分が考える最強のベイブレートをつくりあげられる環境が整っていると言えます。

ベーゴマでも、側面を斜めに削って相手のベーゴマの下に潜り込みやすくする等の改造はあったが、ベイブレードのパーツの種類と組み合わせには遠く及ばないでしょう。

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※縁を削ったベーゴマ。出典:神戸ベーゴマ狂会~削る~

以上から、ベイブレードはベーゴマの本質的な面白さである

  • コレクション性(色々な種類のベーゴマを集める)
  • 真剣勝負性(リアルタイムで起こるバトル、場外や停止等勝敗がわかりやすい)
  • カスタマイズ性 / 戦略性(側面や先を削って特徴づける、糸の巻き方を変える)

を保持しながら、現代風にアップデートして、各要素を劇的に拡張させた素晴らしいおもちゃであると言えます。

toioとベイブレードの共通点

※「トイオ・コレクション」の紹介動画。工作をしたり、レゴなどの玩具を組み合わせたりして遊べる基本ゲーム集

toioに話を戻します。toioは動画を見るとわかるように、今まで子供たちが自分たちで動かしていたような原始的な遊びを、機械によってアップデートしていることが分かります。

加えて、ソフトの切り替えやレゴとの組み合わせによって、コンテンツとしての幅も拡張されており、上述の『ベイブレード理論』に当てはまっています。

 

ただ、おもちゃ購入の意思決定は子供の母親によるところがほとんどです。ベイブレードはシンプルかつ手頃なおもちゃ(本体だけなら1000円程度)であるため、購入に対するハードルは高くはないと考えられるが、toioは決して安くはありません。toio本体と上記のロンチタイトル2本、LEGOブロックの初回限定全部セットで2万5855円です。

また、テクノロジードリヴン、かつ学んで遊べるおもちゃであるため、使いこなすためには親側にも最低限の理解が必要だと考えられます。そのため、ソニーは教育に熱心である高所得者層をターゲットとして、ソフトでリピートすることを狙っているのはないかと考えられます。

 

なんにせよ、自分で考えられるおもちゃは子供の創造性を育む素晴らしい材料になると思うので、これからも「toio」の動向をチェックして行こうと思います。

ベイブレードバースト B-76 ベイブレードバースト ゴッドエントリーセット

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