映画ビジネス研究所

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【短編小説】思い出の地図

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ある日、街を歩いていると美人な外国人の女性に道を聞かれた。

どうやら彼女は美術館に行きたいらしい。しかし僕は英語が苦手で、とてもじゃないが英語で道順なんて説明できない。そこでなんとか身振り手振りで説明しようとしたが、どうやら上手く伝わっていないようだ。そこで僕は彼女の地図に偶然持っていた赤いペンで線を引き、道順を示すことにした。すると彼女は道順が分かったらしく、笑顔でお礼らしきことを言いながら去って行った。

これがきっかけで僕は英語の勉強を始めた。もちろん英語でうまく自分の考えを伝えることができなかった悔しさもあるが、なにより彼女が美人だったので、外国の美人な女性ともっと話せるようになりたいと思ったからだ。

* * *

数年後、僕は同じ場所を歩いていた。

するとまた外国人の女性に道を聞かれた。今や英語力を身に付けた僕は、得意げに英語で道順を説明した。しかし、どうやらうまく伝わっていないらしい。そこで彼女が持っている地図を使って説明しようとした。するとそこにはどこか見覚えのある赤い線が描かれていた。彼女の顔を見ると、やはり数年前に会った彼女だった。

僕は驚いて、つい「昔、会ったことありますよね」と日本語で聞いてしまった。すると「そうですね」と彼女は日本語で答えた。どうやら僕が英語を勉強したように彼女も日本語を勉強したらしい。すっかり意気投合した僕たちは連絡先を交換し、連絡を取り合う仲になった。彼女が仕事の都合で日本に来てからは、よく一緒にどこかへでかけるようになった。

* * *

僕の家のリビングにはボロボロになったあの地図が飾られている。

僕たちが出会ったころの気持ちを忘れないためだ。「あなたご飯できたわよ」と妻の呼ぶ声が聞こえる。今は子供も2人いる。唯一の悩みは彼女の両親の家が少し遠いことぐらいだ。

 

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