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映画ビジネス研究所

映画についてビジネスの観点から考察するブログ

「UPLINK Cloud」リリースで考えた、VODサービスの発展は映画文化を衰退させるかという問題

Netflix SVOD 映画ビジネス 映画×IT コラム
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はじめに

こんにちは、胆石クラッシャー(@ev20405)です。

映画会社UPLINKから映画のオンライン配信サービス「UPLINK Cloud」がリリースされました。

UPLINKは、国内外の多様な価値観を持った映画を全国の映画館に配給し、奥渋谷でミニシアターであるアップリンク渋谷を運営している映画会社で、アップリンク渋谷には3つのイベントスペースがあり、映画の上映やライブなどを開催。マーケット、カフェも併設されており、映画好きにはたまらない場所です。

そんなUPLINKからリリースされたのが、独自の視点で選んだ作品をネットで配信する、オンライン映画配信サービス「UPLINK Cloud」。「VOD界のミニシアター的マインドで作品を編成し、個々の作品の宣伝もSNSを中心として行っていきます」とのこと。

【参考記事はこちら】

www.cinematoday.jp

いわゆるミニシアター系映画をオンライン配信する、という非常にチャレンジングなサービスですが、このニュースをみて、映画をオンラインで配信する、いわゆるVODサービスは映画文化を衰退させる可能性があるのではないか?と考えたので、記事としてまとめてみようと思います。

【UPLINK Cloudへはこちら】 

www.uplink.co.jp

「未だにレンタルDVD借りてる人ってなんなの」というエントリーの衝撃

少し前に以下のエントリーが話題になりました。

anond.hatelabo.jp

要は「定額で映画やドラマ見放題のサービス(VODサービス)があるのに、なんで未だにレンタル店に行ってDVD借りている人がいるのか理解が出来ない」という内容なのですが、私はこのエントリーを読んで「こんな考え持っている人がいるのか」と衝撃を受けました。

もしかすると、このエントリーを書いた人はVODサービスにもある映画を、わざわざレンタルDVDで借りるのはバカらしい、という気持ちで書いたのかもしれません。

ただ、PCやスマホで映画を見ることに違和感がない世代が、これからどんどんでてくる事実は揺るぎ無く、「趣味は映画観賞です」レベルまでいかない人たちにとっては、上記のような考えは、以外と普通なのではないかと感じました。そして、映画はどんどんメジャー作品ばかりになってしまうのではないか、という危機感を覚えました。

 

私自身は、アクション映画しか見ないし、ある程度有名どころは見尽くしてしまったため、見たい映画は必然的にマニアックなアクション映画になってしまいます。

そのため、VODサービスや周辺のTSUTAYAでは満足できず、渋谷TSUTAYAにしかないようなマニアックなDVDやVHSを郵送レンタルできるTSUTAYA DISCASを利用しています。

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上記のエントリーに関連し、こちらも話題になりました。VODサービスの発展は映像文化の衰退を招くのではないか、というエントリーです。非常に共感できました。

anond.hatelabo.jp

NetflixやHuluのようなVODサービスは、なんでもかんでも映画を配信するわけではありません。あくまで自社サービスの加入・利用の継続が最大化される作品を選んで配信しています。そのため、どうしてもマニアックな作品は配信されません。VODサービスしか利用しない人にとっては、マニアックな作品の存在自体知られる機会がなく、存在しないと同義です。

VODサービスが広がり、映画をネットでしか見ない人が増えれば増えるほど、メジャー作品の力は強くなり、マニアックな作品の存在感はどんどん薄れていくでしょう。それは映画の多様性の減衰、映画文化の衰退につながります。

 

マニアックな作品を配信するサービスは実はいくつかある

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※新進気鋭の映画監督の作品を配信している「LOAD SHOW」

しかし、そんな流れに逆らうように、オンラインでマニアックな映画を配信しているサービスもいくつかあります。「LOAD SHOW」もその一つです。

「 LOAD SHOW」は、インディペンデント映画(自主映画)に特化した配信を行っており、俳優として活躍する染谷将太監督作品や、国内外でその実力が高く評価されている濱口竜介監督の作品等エッジの効いた作品が並んでいます。

また、データのダウンロード配信とストリーミング配信の両方を行ったり、予告編を視聴できるようになっていたりと、ユーザーに親切なサービスになっています。

【LOAD SHOWにはこちらから】

loadshow.jp

 

あとは映画配給会社のギャガが運営する「青山シアター」でしょうか。

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「青山シアター」は最新作のオンライン試写会や、キャストインタビューなど特別動画が見られる等ギャガだからできるオリジナルコンテンツ、日本のインディペンデント映画を厳選して届ける特集企画「インディペンデント・フィルム(IF!)」、さらには日本映画の若手を発掘するプロジェクトである「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」や「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」の作品も配信しています。

【青山シアターへはこちらから】

http://aoyama-theater.jp/

 また、「LOAD SHOW」 「青山シアター」はどちらも映画情報に特化したWebメディアを運営しており、配信だけでなく情報発信にも力を入れています。

 

要は住み分けができればいい

VODサービスが悪役みたいな感じになってしまったが、決してそうは思っていません。むしろ私はVODサービスによって、より多くの人に映画を見てもらえるようになった、とすら感じています。「映画を見る」と「映画を見ない」にはとても大きな隔たりがあります。VODサービスによって映画の楽しさを知り、映画好きになった人もたくさんいるはずです。

要は、VODサービス、レンタル、映画館の住み分けができれば一番良いと思っています。カジュアルに映画を観るときはVODサービス、マニアックな作品を見たいならそこからレンタルや映画館に行けばいい。

ただ、VODサービスによってレンタルや映画館が淘汰され、メジャー作品だけになるのは面白くない。レンタルであればTSUTAYA DISCAS、映画館ではイベント性の高い野外上映会のように、レンタルと映画館は、生き残るために新しいサービスや施策をうって欲しいと思います。

 

まとめ

・メディアが変わるごとに、映画は少しずつ淘汰されていく
・VODサービスの登場で映画はさらに選別されていき、映画文化の衰退を招くのではないか
・結局住み分けができていればいいはず、レンタルや映画館は新しいサービスを生み出して欲しい