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映画ビジネス研究所

映画についてビジネスの観点から考察するブログ

Googleとアカデミー賞監督の最強タッグが生み出した「360°映画」がすごすぎる

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はじめに

Googleが360°の映像を使った映画、いわゆる「360°映画」のプロジェクト「Spotlight Stories」の進捗として「Pearl」というショートアニメーションを発表しました。それがかなり衝撃的な内容だったので紹介します。

 

360°見渡せる映像という衝撃

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【あらすじ】

ギター1本で流浪するミュージシャン父娘と、2人の愛車「Pearl」のロードムービー。途中、父はいなくなるが、娘はバンドのメンバーと共に旅を続ける。

 

衝撃でした。普通に再生するとただのアニメーションなのですが、左上にある十字キーアイコンをクリックすると、まさにグーグルマップのストリートビューのように360°見渡せるではありませんか!

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※左上の十字キーアイコンをクリックすると画面が回転する

もちろん、操作している間もストーリーが同時進行しています。こんなコンテンツは初めてでした。

しかも、作品としてのクオリティも高い!なぜなら、監督は初監督作品「愛犬とごちそう」でアカデミー短編アニメ賞を受賞したパトリック・オズボーン。彼は監督としてオスカー受賞しているだけではなく、アニメーターとしても「シュガーラッシュ」や「ズートピア」といったディズニーの多くの3DCGアニメ作品にも携わっている実力者なのです。

 

従来の映画との決定的な違い

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VRよりも新しくお手軽な360°映画。その魅力は、アクションを身近に感じる没入感を体験できることです。そういう意味では、映画館のイスが振動したり、演出に合わせて水や風がおきる4DXと同じだと思います。

ただ、360°映画と4DXの決定的な違いは情報量の多さです。あくまで4DXは映画館の新しい形であり、映画自体の内容に変化はありません。つまり、監督が観客に見せたい映像を見せているにすぎません。

しかし、360°映画は観客が自分の好きな映像を見ることができます。つまり観客の数だけ作品があるといっても過言ではありません。情報量が多くなれば、その分メッセージをより詳細に伝えることができますが、観客の自由度が高いため、演出意図を観客に理解してもらうのはなかなか難しそうです。

 

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※360°動画に特化したサイト「360 Channel」というものもある

ただ、逆に考えると、観客が主体的になって映像に映し出されている他のストーリーを探すことが可能になります。例えば、ミステリー映画であれば、主人公とは別に、証拠を探すこともできそうです。すなわち、制作する側にとっても、まったく新しいストーリー展開・演出・伏線張りが可能になります。そうなった場合、同じコンテンツを何回も異なる視点で鑑賞し、各々のストーリーを楽しむという視聴スタイルも生まれてくるでしょう。攻略Wikiなんかも出てきそうです。

 

◼︎360°動画で宝探し!?

と思っていたらすでにありました。あるスーパーマーケットチェーンのWebCMです。

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スーパーマーケットチェーン、アスダ(Asda)の家具や衣類のオンライン通販ブランド、ジョージ(George)が製作したこのWebCMは360°を生かしたゲームを映像に盛り込んでいます。

ジョージは「イースターエッグ(隠しコンテンツ)」を、自社の商品でコーディネートされた家のなかに隠し、ツアー動画のなかでユーザーが見つけられるようにしたのです。すべてのイースターエッグを最初に見つけた人には250ポンド(約3万3000円)相当のクーポンをプレゼントしています。

この動画は、まさに先ほどの「何回も異なる視点で鑑賞する」タイプの動画になっています。360°映画は、その情報量の多さから、人に何度も何度も見てもらうことが可能なコンテンツになっているのです。

また、サスペンスやミステリー映画であれば自分でアングルを変えて証拠を探すというアクションができますし、パニック映画なら360°から襲われるという新しい体験を生み出すことが可能になりそうです。

360°映画の紹介

・360°版モンスターパニック映画

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・FPS風1人称視点の360°映画

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まとめ

360°映画は、映画の情報量を膨大にし、観客一人一人が異なるストーリーを楽しむことができるようになりました。ただ、監督の意図する演出を100%楽しんでもらう従来の映画とは全く異なるアプローチであり、新しい映像表現ができるようになったことに伴い、従来の映画の良さである、監督からのメッセージや演出を楽しむ、という要素は希薄になりました。

今後は、360°映画が従来の映画に置き換わっていく、というわけではなく、あくまで新しい映像表現手法として、特にサスペンスやミステリー、パニック映画と中心に独自に発展していくと思います。

今後の展開に注目です。