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映画ビジネス研究所

映画についてビジネスの観点から考察するブログ

マンガ・アニメ原作の実写映画が作られ続けるたった1つの理由

映画ビジネス 実写映画化
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◼︎はじめに

こんにちは、胆石クラッシャー(@ev20405)です。

「進撃の巨人」「ちはやふる」「テラフォーマーズ」「バクマン」……最近、人気マンガ・アニメの実写化の話題には事欠きません。人気マンガの◯◯!ついに実写化決定!というニュースが流れれば、ネットでは「駄作決定」「スタッフは原作読んでるのか?」等ネガティブな意見ばかり目に付きますし、最近では、人気の映画批評サイトである超映画批評では「テラフォーマーズ」は100点満点中5点とボロクソに叩かれています。あまりにもボロクソすぎて一周回って見たくなるレベルでした。しかし、人気マンガの実写化は留まるどころか増えている気すらしています。なぜ、ネガティブな意見ばかり目立つ中、実写映画が作られ続けるのでしょう・・・?

まずは、マンガ・アニメ原作の実写映画がそもそも増えているのか調べてみましょう。

 

◼︎マンガ・アニメ原作の実写映画の数は増えていない

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この表は2000年〜2016年の邦画公開本数に対する「マンガ・アニメ実写化映画」の割合をまとめたものです(データ出典:日本映画製作者連盟Wikipedia)。このデータから、マンガ・アニメ実写化映画の公開本数自体は増えているものの、邦画の公開本数も増えているため、マンガ・アニメ実写化映画の割合としてはほぼ横ばいであることが分かります。ですので、マンガ・アニメ原作の実写映画の割合が増えた、というわけではなく、そもそも邦画の公開本数が増えているため、それに応じてマンガ・アニメ原作の実写映画の公開本数も増えた、という理解が正しそうです。あとはSNS等による口コミ拡散力の向上によって、映画情報の露出度が上がった、とも言えそうです。

話が少し脱線しましたが、今回は、なぜ人気マンガ・アニメ原作の実写映画が作り続けられるのかを考察していきます。結論から言うと「ヒットしやすい=儲かる可能性が高い」なのですが、もう少し掘り下げて、そもそも本当にヒットしやすいのか、なぜヒットしやすいのか、という点を考えていきます。

 

◼︎マンガ・アニメ原作の実写映画はヒットしやすい

まずは、本当に実写化映画がヒットしやすいのかを検証してみようと思います。最初に「ヒットした作品」の定義を決めます。今回は興行収入が10億円以上の作品を「ヒットした作品」と定義します。理由としては、2つあります。

1つは、一般的に日本映画は10億を越えればヒット、20億〜30億を越えれば大ヒット、と言われているためです。日本映画製作社連盟も毎年興行収入10億円以上の映画を発表しています。これらは、日本映画の制作費(宣伝費等をのぞく)がおよそ数億〜10数億であることに起因していると考えられます。日本の場合、興行収入は製作側と劇場側で半分ずつ分配することが多いため、興行収入が10億を越えた場合、2次利用も含めれば最低でも製作費は十分カバーできるでしょう。最近は製作費が高い作品も増えつつありますが…

もう1つは、2次利用の市場規模は1次利用、すなわち映画興行収入の約2.4倍程度の規模があるためです。キネマ旬報映画総合研究所から出版されている「映画・映像業界就職ガイド2013」によれば、2010年度の興行収入が2207億円であるのに対し、2次利用の大きな柱であるセルとレンタルを合わせたパッケージ市場は5307億円に上ります。さらにはテレビ放映料やVOD等もこの数字にのってきます。もちろん、売上がそのまま比例関係になるわけではありませんが、2次利用、3次利用がより活発になってきた昨今において、少なくとも興行収入が10億以上の作品は、最低でも制作費分は回収できた、と判断しても問題ないと考えられます。

 

◼︎興行収入10億以上の作品はどれくらいあるか?

定義付けができたところで、次は興行収入が10億円以上の実写化映画はどれくらいあるのか、そしてそれはオリジナル脚本の邦画よりも多いのかを検証していきます。

こちらに関しては、日本映画製作者連盟の過去データから10億円以上の興行収入をあげた映画の本数を地道に数えてくことである程度分かりそうです。

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この表は、過去10年に公開された邦画のうち、興行収入が10億円以上の作品がいくつあるかを「邦画(アニメ込み)」と「実写化映画」で分類してまとめたものです。興行収入が10億円以上になる確率は、先ほどの1年の公開本数から算出しました。

このデータから、「マンガ・アニメ原作の実写映画」の方が、興行収入10億円以上をだす確率が高いことがわかります。また、付け加えるなら、実写化映画以外で興行収入10億円以上をだしている映画の中には「アニメ映画」「特撮映画」が含まれます。これらは毎年数本は必ず興行収入10億円以上をだしている映画に入ってくるので、それも考慮すると、やはり「マンガ・アニメ原作の実写映画」の方がオリジナル脚本の映画よりもヒットを叩き出す確率が高そうです。

ちなみに、実写化映画で特に稼いでいる「ROOKIES 卒業」は85.5億円、「THE LAST MESSAGE 海猿」は80.4億円の興行収入を叩き出しています。いくら製作費が高くても「るろうに剣心 伝説の最後編」が30億円程度らしいので、「THE LAST MESSAGE 海猿」も高くて40〜50億程度でしょう(適当)。ヒットした作品はえてして2次利用でも稼ぐ傾向にあるので、マルチユースも含めればかなり儲かった作品なのではないかと思います。

 

◼︎まとめ

・マンガ・アニメ原作の実写映画の割合が増えたわけではない

・邦画の公開本数全体が増えているため、実写化映画の公開本数も増えた

・実写化映画はオリジナル脚本の邦画よりもヒットする確率が高い

次回は、なぜ実写化映画がヒットしやすいのかを考察します↓

creppy.hatenablog.com

 

 

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