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映画ビジネス研究所

映画についてビジネスの観点から考察するブログ

【考察】映画館の入場者数を増やすためのたった1つの方法

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はじめに

映画館へ行く人が減った、と最近よく言われています。実際、リサーチバンクの調査によると高頻度で観る人が減少し、ほとんど観ない、映画館に行かない人が増加していることがわかります。(出典:「映画離れ」は「映画そのもの離れ」と「映画館離れ」

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今ではアカデミー賞の選考さえもDVDで行う時代です。日本でも宅配DVDレンタルが一般化し、HuluやネットフリックスといったVODサービスがどんどん拡大しているため、今後も映画館へ行く人は少しずつ減っていくのではないかと考えています。

では映画館は今後どうすればいいのでしょうか?やはり淘汰されていく運命なのでしょうか? 

映画館の入場者数を増やすにはどうすればよいか

では映画館の入場者数を増やすにはどうすればいいかを考えるため、まずは映画館に行かない人の理由を見てみましょう。(出典:「映画離れ」は「映画そのもの離れ」と「映画館離れ」

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このデータから、映画館に行かない大きな理由は「自宅で観る方が楽」「観賞料金が高い」の2つであることが分かります。つまり、映画館の入場者数を増やすためには、①映画館に新たな付加価値をつける②鑑賞料金を安くする、の2つが有効であると考えられます。では、それぞれについてもう少し具体的に考えていきましょう。

◼︎映画館に新たな付加価値をつける

そもそも、映画館に行かない理由として「自宅で観る方が楽」と回答するのは、ユーザーがテレビの大型化やVODの普及で、自宅でテレビやPC、タブレットで映画鑑賞の環境が整備されたことが大きいでしょう。ホームシアターシステムも安価なものがどんどん登場してきています。つまり、映画館の最大のメリットである、大きい画面・高音質が差別化の要因になっていないのです。何より、映画館は時間と場所を数時間制約されるメディアです。スマートフォンにより隙間時間で容易にコンテンツ楽しめるようになった現代社会において、時間・場所が制約されることは大きなデメリットです。若者の中には、上映中、スマートフォンを見れないから、という理由で映画館に行かない人もいるくらいで、事実、米の大手映画館チェーンAMCは、上映中に携帯電話でテキストメッセージを打ったりといった、携帯電話の使用を認める特別な席やエリアを設けることを検討していることを明かしています。(出典:米国で「上映中スマホ」解禁、中国は映画に“ニコ動”…新ビジネス「公開日に自宅で鑑賞」の波紋

では、どうすればいいのか。一つは映画館に新たな付加価値をつけることです。具体的には、映画館を「映画を大きい画面・高音質で見られる場所」以外の付加価値をつけるということです。立川シネマシティという映画館があります。ここは、まさに付加価値で勝負している映画館で、最近ではマッドマックスの爆音上映会で話題になりました。こちらの記事が参考になります。

weekly.ascii.jp

立川シネマシティはマッドマックスのためだけに数百万するスピーカーを購入したり、フードで映画館にある釜で焼いたピザをだしたり、劇場のレンタルサービスをやったりと、様々なアプローチを行っています。まさに、普通の映画館にはない付加価値でしょう。もう少し具体的に言うなら、付加価値によって、イベント感を出して話題を提供しているのです。日本人は特にコンテンツをコミュニケーションとしてコンテンツを消費することが好きな人種です。LINEスタンプ流行っているのも、ソーシャルゲームが流行っているのも、コミュニケーションのいわゆる「きっかけ」として消費されるものであるから、あそこまでヒットしているのでしょう。事実、映画館に行かない人が増えている中、オシャレな野外上映会には人が集まることはその裏づけかと思います。以前、開催された時をかける少女の野外上映会はすごい人でした。レポート記事↓

creppy.hatenablog.com

このように、映画館の入場者数を増やす方法の一つとして、新たな付加価値によってイベント感を出して話題を提供することが有効であると考えられます。

◼︎鑑賞料金を安くする

次に、鑑賞料金を下げることについてです。こちら関しては、NTTコムリサーチの「映画館での映画鑑賞に関する調査」に参考になるデータがありました。(出典:映画館での映画鑑賞に関する調査

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こちらのデータから、料金を1800円→1000円に下げた際に、一番大きなインパクトがあり、それは図15からもわかるように、年の鑑賞本数に関わらず大きく変化しています。そのため、鑑賞料金を下げることは、映画館への入場者数増にある程度効果は見込めるでしょう。ただ、ビジネスにおいて企業努力の存在しない単純な値下げは非常に危険な行為です。値段が判断基準になってしまった場合、ライバルが値下げすればこちらも値下げする必要がでてきてしまうため、ドロドロの値下げ合戦になりかねないためです。ましてや、VODや再生機器の進化は著しく、コンテンツという意味でのライバルであるソーシャルゲームSNSは基本的に無料である昨今、値段だけの競争は非常に危険でしょう。

ただ、ヘビーユーザー向けの限定した価格戦略は、ユーザーの満足感向上という意味で有効だと考えています。こちらのデータをみてください。直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人の割合です。

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このデータによると直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人は全体の45.3%でした(出典:映画館での映画鑑賞に関する調査)。逆に言うと、日本人のおよそ6割はそもそも映画館で映画をみない層であると言えます。国内の観客動員数はおよそ1.6億人なので、日本の人口を1億2000万人とすると、直近1年以内に映画館で映画鑑賞をした人は、平均でおよそ1年で5回映画館に行っていることになります。

(一人当たりの鑑賞回数)×(映画鑑賞した人)=1.6億人

つまり、ヘビーユーザーが今の映画館を支えていることになります。

均質な値下げは主にそもそも映画に行かない、もしくはほとんど行かないライトユーザー向けの戦略です。ライトユーザーは、新しいモノ、メディアに露出するモノに非常に流されやすい傾向にあります。であれば、ヘビーユーザー限定で会員特典という形で10本みたら1本無料、というサービスならどうでしょう。来る回数が増えればそもそもフードやグッズが売れる可能性は上がりますし、会員というステータスをユーザーに与えることができます。シルバー会員、ゴールド会員などとランク付けし、会員手帳なんかを発行すれば、ユーザー同士のコミュニケーションのきっかけにもなります。

まとめ

・映画館の入場者数は少しずつ減ってきている
・主な理由は「自宅の方が楽」「鑑賞料金が高い」
・映画館が生き残るためは、新たな付加価値を見出す必要がある